金メダル

2004年8月29日
 アヌシュ選手がドーピング疑惑で金メダルを剥奪された。今回は日本の室伏選手が金メダルに繰り上がる上に、日本の金メダル数が過去最高タイになるということで非常にマスコミも注目していたが、そうでなければ今までと同様に流されてしまうようなニュースだったと思う。
 それにしても、なぜあのようなことが行われてしまったのだろうか。というよりも、本当にすり替えは行われたのであろうか。結局、陽性反応が出たわけではなく、その場で現行犯で押さえることもできず、要はコーチが一緒だったからと言うことで後から疑惑が起り、もう帰国してしまった人に対してもう一度検査をさせろと主張し、来なかったから剥奪。じゃあ、コーチが違えばそのまますんでいたのではないか、とか、もうちょっと競技の日にちが遅く、オリンピック期間が終わっていたら、もうこのような措置がとれなかったのではないかということを考えると、なんだか微妙なあとあじの悪さを感じる。
 ドーピングがいけないことであるのははっきりとしている。そして、それを捕まえにくいこともよくわかる。でも、本来的にはやはりそれを捕まえるためには、その場で捕まえられるような対策を考えるべきであり、事後的に繰り上がって金メダルをもらっても、なんだかありがたみは半減する。しかも、事後的に検査を要求できるのはオリンピック期間中だけということになれば、最終日のマラソンで同様のことが行われたらどうなっていたのか、などという疑念も生じ得てしまう。
 尿のすり替え一つにしても、だんだんと手が込んできているのは非常によくわかるところではあるが、袋に仕込むといった程度の話であれば、やっているのは手品師ではなく普通のスポーツ選手なのだから、本気で見抜こうとすれば見抜けるはず。また、常にそのような疑いを持って担当係官が目を光らせていれば、テレビで言われているような手やお尻から管を通して他人の尿を注ぎ込むなど、見抜くことができるのではないだろうか。
 相手はメダルを取った選手であり、その国の英雄ともなりうる人物であるから、ふと性善説に立ってしまい、思わず「おめでとう」とでも言って祝福し、そのお祝いムードを壊したくないという思いに駆られがちなのはわかる気もするが、ぜひとも担当係官においては、周囲からは悪魔のようだと言われようとも、心を鬼にして厳格に検査を行って欲しいと思う。そして、そうすることこそが、買った者も負けた者も納得ができ、かつメダリストの価値を下げずにすむ、最善の方法ではないかという気がする。

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