ISBN:4488422012 文庫 鯨 統一郎 東京創元社 1998/05 ¥651

 久しぶりに再読した。僕はこの本が非常に気に入っていて、出た当時もいろいろな人に勧めまくり、就職の面接に際しても「面白いと思う本を一つあげてください」と言われたときにこの本をあげたくらい。その後もこの人の本はほとんど全て買っているが、どうもこれを超えるほどのインパクトはないような気がする。(こんなことを書くとファンが怒るかな?)
 形式としては短編集で、歴史的な事実などを「みんなが思っているのと実際は違うんだよ」というのを、本物の文書をもとに証明していくというのが、その内容。まあ、『証明する』とは言っても、自説に都合の悪い部分は書いてないんだろうし、もっと言っちゃえば引用されてる文章だって実在しない可能性だってあるわけで、要は真剣に読むのではなく、むしろその詭弁を楽しむというイメージ。でも、読んでいると、本当にそちらの方が正しいのではないかと思い始めちゃったりするから面白い。標題にもなっている邪馬台国の位置にしても、あり得なくはないよなぁと思い始めてしまったりするから、信じやすい人には結構危険。周囲の人に知ったかぶって話してしまったりすると、ネタがバレたときにちょっとさむいかも。ただ、ネタを知っているのに再読できるというのは、やはりこの作品のレベルの高さを表しているのではないかという気がする。

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