ほぼ丸一日かけて読了してしまった。でも、それが苦にならなかったということは、それだけ引き込まれたということ。ただ、今回はどちらかというと、次に向けてのステップという感が強く、3部作の2作目的存在であるように思った。言い換えれば、今までに広げた風呂敷をいったんまとめ上げて、とりあえず最後に帰るための準備をしている感じ。
 何が言いたいかというと、今までの謎がいろいろと解明されて、話もいろいろと進展しているんだけど、全てが次回作に向けた下準備として、ネタばらしがされていたり、話が進展していたりするので、通過点ということがすごく感じられちゃう。だから、読み終わったのにちょっとすっきりしない。そういう意味では、先日見た『スパイダーマン2』とよく似ている。
 面白さという点からいうと、映画の『アズカバンの囚人』みたいなところがあって、今までとは違った雰囲気を感じた。リアリティの追求により、メルヘンチックな雰囲気を失ってしまったとでも言っておこうか。映画の時もそうだったのだが、子供向けの児童文学から、大人向けの小説へと昇華してしまった感じ。
 きっと大人が見るということがわかってきて、大人をも意識した作りになってきたからではないかと思うのだが、それがまたハリーの世界をこわしている。『ネバーエンディングストーリー』も2作目になって、妙に哲学っぽいことを強調し始め、単なる子供向けの楽しい映画ではなくなってしまったが、あれと似ている。
 では、読む価値がないかというと、逆に読まなくてはいけない1冊。何しろ、通過点というのは、通過している最中はつまらないものだが、それがなくしてはゴールにたどり着けないからだ。だから、そういう意味では非常に重要な一冊ではあるのだが、傑作かと言われれば、きっと次か、そのまた次の作品の方がおすすめになるであろうと予想する。

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