Φは壊れたね

2004年9月16日 読書
 忙しいので読む気はなかったのだが、新シリーズと言うことで、ふと本屋で手に取ってしまったのが運の尽き。そのまま一晩かけて読了してしまった。
 面白いかと言われると結構微妙で、最後まで読み進める原動力はあるが、再読したいと思わせるほどの原動力はない。そんな感じ。きっと本棚に並んでいても、再度手に取ることはないだろうが、ブックオフで売るまではいかない。少なくともボクにとってはそんな価値でしかなかった。
 今回は新シリーズと言うことで、新キャラクターもたくさん登場するから、その役割分担が見えない分、読んでいてもその関係を知るのに苦労するし、イメージをつかむのも難しい。きっとそこらへんが、今回のような感想を抱く原因なんだろうとは思うのだが、『すべてがFになる』はすんなりと入ることができ、再読したこともあることを考えれば、やはりパンチが弱いと言えるのかもしれない。
 また、トリックで読ませると言うより、ストーリーや設定などで読ませる展開は相変わらずで、すごいトリックが隠されているのかと期待すると、期待はずれに終わる。やはり人間関係や、理系的思考法みたいなものを楽しむのが正しいようだ。
 そういう意味では、『すべてがFになる』では天才ばかりが登場していたため、その非凡な思考方法などが強調されていたのに対し、今回は普通の一般人が多く出てくるので、そういった部分が減ってしまい、それに伴って魅力が半減したと言えるかもしれない。
 とは言え、じゃあ次回作を買わないかと言われると、やはり買ってしまうわけで、この微妙な物足りなさが、次の作品を買わせる原動力になっているのかもしれない。
 賭け事の心理として、当たる確率が低ければ低いほどハマる、という研究を見たことがあるが、この微妙な外し具合も、森先生の計算のうちだったとしたら、ボクは完全に術中にハマっていると言えるのだろう。

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