四季 夏

2004年9月30日 読書
 もう9月も終わろうとしているのに、ある作品がなかなか本屋に並ばないので、次に電車の中では何を読もうか考えて、これを引っ張り出してきた。

 これは森先生の作品の中では、ある意味ネタばらし的な意味で重要な一冊。ボクなんかは、それほど考えずに読み進めたきたから、まさかそのような裏があったなんて、まったく考えたこともなかった。もしかしたら、ファンの間ではいろいろと議論があったのかもしれないが、周りにミステリーファンのいないボクにとっては、とても新鮮に感じられた。
 しかも、読み進めるにつれて、自分があっさりと読み飛ばしてきた作品たちが、違う側面も持っていたことを思い知らされ、時にはボク自身が違和感を持たなかったことに、疑問を持つような内容もあった。(早く気が付くべきだったのでは?と自問してみたりする)
 作品自体のチカラとしては、あまり強くはないと思うし、これを単独で読んでも、たいして面白くはない。でも、今までの作品とのつながりとを考えたとき、光を放つようにできあがっている。

 ただ、これを出したというのはどうだったのだろう。やはり予定された内容だったのだろうか?森先生のホームページは、今はもう見ていないから、これについては何と言っているのか知らないが、結構書いている側としては、どれだけの人が気が付いてくれるのか楽しみだったのではないだろうか。
 以前、中島みゆきが夜会で凝ったことをやりすぎてしまい、自分の意図した内容が観客にうまく伝わらなかったことに失望をしたというような内容が書いてあったのを読んだことがある。
 ボクもそんな鈍感な人間の一人だっただけに、先生にはぜひ「や〜い、わかんなかっただろ!」と喜んでいただきたいと思う。

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