ハサミ男

2005年4月26日 読書
ISBN:4062735229 文庫 殊能 将之 講談社 2002/08 ¥770

 この本は、実は今回買った訳ではない。読んだ訳でもない。では、なぜ急にこの本について書こうと思ったかというと、たまたま本の整理をしたら新書版のこれが出てきて、しかも同じ日にたまたま平積みになっている文庫版を見つけたからである。なんだ、それだけかという話ではあるのだが、この本はスゴいという印象があるので、その点について書きたい。

 この本のすごさというのは、少々ネタバレになるものの、核となるトリックが読んですぐに見えてくるということにある。これは、最後まで読んでみてわかったことなので、あまり偉そうには言えないのだが、ボクは読みはじめて数ページで違和感を感じ始め、一つの仮定が頭に浮かび、最後にネタがバラされて、ああやっぱりと思ったのである。
 こう書くと、なんだかつまらない作品に聞こえるかもしれない。しかし、ボクはむしろ彼の表現力に驚きを感じたし、そのような情景が頭に浮かぶ文章を書けるということに、当時のボクは、今度のメフィスト賞はスゴい、と感じたのである。
 そんな強い印象を抱いた本作品ではあるが、実はそれから再読してない。今、読んだら、もしかしたら印象が変わるのだろうか。評価も大きく変わるのだろうか。なんとなくだが、そんな気もする。そんなおそれもあって、ボクは再読できないでいるのだが、そういう意味ではこのまま本棚に置いておいて眺めていた方が、ボクにとっては幸せなのかもしれない。

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