ISBN:4422211323 単行本(ソフトカバー) 種村 季弘 創元社 1997/12 ¥1,575

 錬金術と言って思い浮かぶのは、今なら『鋼の錬金術師』かもしれないが、この本は豊富な図版とわかりやすい文章により、そこで語られている錬金術の入り口を見せてくれるという意味で、非常に良い入門書と言えよう。
 今までは錬金術と言えば、妖しい思想のように考えていたが、この本を読んでみると、錬金術は一つの化学の考え方なのであると言うことがわかってくる。つまり、今ある科学的思考に基づく化学とは全く異なる方法で科学的事象を説明する。それが錬金術なのである。
 そして、そこでは占星術との関わりをも説明してくれる。占星術師の鏡リュウジ氏が、占星術が当たることを科学で説明することがなかなかできないと言うことを本の中で語っていたが、この本を読んでいると、錬金術的科学観の中でできあがってきた占星術は、確かに現代科学の世界観の中では説明が困難であろうことをわからせてくれる。
 そういう意味で、ある種の世界観を広げてくれる一冊であり、ぜひ心を広く持って読んで欲しい一冊である。

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