ISBN:4334075649 新書 麻耶 雄嵩 光文社 2004/05/20 ¥860

 久しぶりに再読したので感想を一つ。

 ボクはこの人の作品が好きで、「夏と冬の奏鳴曲」などは本当に最後まで読んだのに結末がよくわからず、訳がわからないまま読み終わったのに、それでもなんだかわからないけどその空気感が好きという、ある意味では理性を超えたファンだったりする。だからかもしれないが、ボクはこの作品についても、もろ手を挙げて賛成したいと感じたし、とても面白いと思った。
 ここで使われているネタは、「翼ある闇」という第一作からの続きみたいなところがある。だから、まずはそちらを読むことが必要であり、それを読んでからこちらを読むと、非常に良く人間関係やそれぞれの人間性がわかるようになっている。そして、それがわかった上で読んでいるから、読者も一緒に探偵にイライラしたりするし、最後の探偵の一言に納得したりするのである。
 そういう意味では、それらの人間関係や人間性を利用して、うまくワトソン役の筆記者に読者を感情移入させているとも言え、ボクがファンだからかもしれないが、何度読み返してもよい作品になっていると思う。
 ちなみに、「夏と冬の奏鳴曲」については、インターネット上でもいろいろな説が流れており、ボク自身も今までにも何度となく読み返してはみたが、未だにはっきりとした結末は見えずにいる。

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