ISBN:4061824805 新書 姉小路 祐 講談社 2006/04/07 ¥903

 久しぶりに本屋へ行って、ミステリーを買いだめしてきた。ということで、講談社ノベルス4月の新刊から、まず読んだのがこれ。

 雰囲気的に、『Q.E.D.シリーズ』とかぶっているのかな、とは思ったのだけど、実際に読んでみるとちょっと違って、個人的にはあちらの方が好き。というよりも、単発ものとシリーズものの違いなのかな。

 こういうのって、まずは民俗学的なネタがあって、それをどうやってミステリーのストーリーとくっつけていくかっていう話だと思うんだけど、今回のこの話は、民俗学的なネタの方はそれなりに面白いんだけど、ミステリーのストーリーの部分がイマイチ面白くない。っていうか、薄っぺらいのが見えちゃう感じ。
 『Q.E.D.シリーズ』も、それほどミステリー部分やストーリー展開の部分がしっかりしている訳じゃないし、どちらかというと民俗学的なネタの部分で読ませる本だと思うんだけど、それでも飽きさせない程度のストーリーは持たせているように思う。でも、こちらは民俗学的なネタを展開させるためのストーリー運びの部分に、やたら時間がかかってしまって、ミステリー的なストーリーの部分がかなり唐突に展開したりしてしまっている。だから、なんだかすごく読んでいても違和感がある。

 今回のこの本は、民俗学的なネタの部分が面白かったので、これはこれでありだと思うのだけど、これだったら『Q.E.D.シリーズ』で読んでみたかった気がする。違う人が同じネタをモトにミステリーを書いたら、どれくらい違ってくるのか。この分野がミステリーとして確立し、得意とする作家がたくさん出てきたら、そういう企画も面白いと思うのだが、そのうちどこかでやってはくれないだろうか?

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