01月24日付 朝日新聞の報道「学力テスト、昨年と同問題 東京都調布市」へのコメント:

 この事件、調布市が外部委託した会社が問題を作り、データ作成などを請け負っていたらしいが、この会社がとても怪しい気がする。

 このテストはどうやら去年から始まったらしく、会社の言い分としては、毎年同じ問題を使うことで、その年の学力を絶対的に評価しようということらしい。
 確かに、同じ問題を毎年解かせれば、去年の人たちとの比較も容易にできるし、データの信頼性も高そうに見える。しかし、果たして本当にそうだろうか。

 問題は配られず、返されないとしても、受験生の中には確実に覚えている人たちがいる。だとしたら、「去年はこういう問題が出たよ」とかいった情報が、塾などを通じて受験生たちにもたらされる可能性は非常に高い。
 これは、特定の塾に通っている人たちが得をすることになりやすく、また、塾に行っている人と行っていない人の間の格差の拡大に役立つことになるだろう。ましてや、2年連続で同じような問題が出たとなれば3年目もということになるだろうし、3年連続なら4年目もということになる。そうなってくれば、再現問題集が作成されるであろうことは確実であり、それは一部の塾でのみ出回ることになるだろう。

 ボクが問題だと思うのは、事前チェックを怠った調布市の怠慢さも確かにある。しかし、それにもまして、そのようないい加減な仕事で調布市からお金を巻き上げようとしている、その会社の姿勢というものを、非常に疑問に思う。
 どんな会社なのかは知らない。しかし、同じ問題を使い回して、それで金を取ろうなんていうこと自体が、あまりに非常識で信じられない。だいたい、学校の試験だってあえるのが通常であり、先生たちは、どんな問題を出すかで非常に頭を悩ませるのである。それを、年をまたいでも比較しやすくするためなどという理由で、同じ問題を使い回そうなどというのは、問題である。通常、違う問題を使いながら、それでも比較をしたりするわけで、そういうことをやろうと思えばできるはずである。もしも、ノウハウがないのなら、これは耐震偽装の姉歯と同じであり、まさにそれを信頼して仕事を任せた方は、いい迷惑である。

 姉歯の時もそうであるが、どうしてできないことがあるのなら、勉強しようとしないのだろう。姉歯だって、経済設計のノウハウを研究して、他の建築士のように、同じかそれよりも少ない鉄骨量で強い建物を造ることもできたはずである。しかし、彼はそのような勉強をするでもなく、むしろ偽装という道を選んだ。今回のテスト会社も、問題を毎年変えながら、他の年度の生徒との比較を可能とする方法はいくらでもあるはずだ。それを勉強しないで、しかも自分が手を抜くために、同じ問題を使い回して、しかも、そんなくだらない言い訳をするなんて、本当に姉歯なみの低レベルな脳みそといわざるをえない。

 こんな業者を信頼してしまった調布市もかわいそうだが、こんな時期になって騒がれている受験生も、かなりかわいそうなのであり、こんな訳のわからぬ事件に惑わされることなく、うまく合格してくれることを祈るばかりである。

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