天帝のはしたなき果実
2007年2月11日 読書
ISBN:4061824775 新書 古野 まほろ 講談社 ¥1,680
いわゆる流水大説が好きな人ならば、いけたのかもしれない。しかし、あいにくボクは流水大説が苦手だ。だからだろう。ボクはあまり面白いとは思えなかった。
独特の世界観を持つことは評価しよう。謎解き部分も頑張っていたんじゃないだろうか。しかし、読者をこの世界にどれだけ引き込めたのだろうか。京極夏彦ばりの厚い本を、一気に読ませるだけの力が、この本にあったのだろうか。少なくともボクは、あまり入り込めなかったし、結局この本を読み進めた一番の原動力は義務感だった気がする。
入り込めない理由としてはいくつか考えられるが、その中でもボクにとって大きかったものをあげるとすれば、まずは変な外国語ルビの多用。そして、内輪だけでわかる専門用語や専門知識の多用。そして最後に、それぞれの登場人物のイメージの薄さではないだろうか。
キャラクターとしては、それぞれ特異な人物として描かれているのだが、なぜか人物が目に浮かばない。そして、イメージができない分、それぞれの人物の位置づけがイマイチ理解できない。キャラクターと雰囲気が理解できない分、最後にネタ晴らしがあってもピンとこない。
結局、最後まで読んでみても、なんだかピンとこないし、やられたとか、スッキリしたとかいう感じもない。むしろ、やっと終わったというのが、正直な感想というべきだろうか。
ボクが思うに、このネタであれば、半分ですんだように思う。というか、普通は半分で書くのではないだろうか。それをこの作者は、なんだか知らないが、やたらと引き延ばしまくって、これだけの大作に見せかけてしまった。実際のネタは、その半分のボリュームにしか値しないのにである。だから、飽きてくるし、なんだか全体にぼやけてつまらなくなるし、最後までいっても面白いと思わないのである。
実際、作者に読ませるだけの筆力があれば、同様のことをしても大丈夫だったのだろう。しかし、残念ながら作者にはそこまでの力はなかった。だから、まとめればとても短くなる部分を、何十ページも使って書いてみたりしてしまった時、そのあらが読者にもわかってしまった。それは、本来であれば、最悪の事態であり、デビュー作だから許されるとしても、今後は厳しい批判の目にさらされても仕方のないことであろう。
浦賀さんのような世界観を使い、流水大説のようにダラダラと書いて、島田さんのように歴史的事実も交えながらその裏にあったとされる謎を解く。これはこれで面白いのかもしれないが、これを完成させるには、やはりもっと読ませるだけの筆力が必要であろう。
次回作がどのようなものになるのか、非常に楽しみなところであるが、早々に消えたメフィスト賞作家の仲間入りはしないように、頑張って欲しい。
いわゆる流水大説が好きな人ならば、いけたのかもしれない。しかし、あいにくボクは流水大説が苦手だ。だからだろう。ボクはあまり面白いとは思えなかった。
独特の世界観を持つことは評価しよう。謎解き部分も頑張っていたんじゃないだろうか。しかし、読者をこの世界にどれだけ引き込めたのだろうか。京極夏彦ばりの厚い本を、一気に読ませるだけの力が、この本にあったのだろうか。少なくともボクは、あまり入り込めなかったし、結局この本を読み進めた一番の原動力は義務感だった気がする。
入り込めない理由としてはいくつか考えられるが、その中でもボクにとって大きかったものをあげるとすれば、まずは変な外国語ルビの多用。そして、内輪だけでわかる専門用語や専門知識の多用。そして最後に、それぞれの登場人物のイメージの薄さではないだろうか。
キャラクターとしては、それぞれ特異な人物として描かれているのだが、なぜか人物が目に浮かばない。そして、イメージができない分、それぞれの人物の位置づけがイマイチ理解できない。キャラクターと雰囲気が理解できない分、最後にネタ晴らしがあってもピンとこない。
結局、最後まで読んでみても、なんだかピンとこないし、やられたとか、スッキリしたとかいう感じもない。むしろ、やっと終わったというのが、正直な感想というべきだろうか。
ボクが思うに、このネタであれば、半分ですんだように思う。というか、普通は半分で書くのではないだろうか。それをこの作者は、なんだか知らないが、やたらと引き延ばしまくって、これだけの大作に見せかけてしまった。実際のネタは、その半分のボリュームにしか値しないのにである。だから、飽きてくるし、なんだか全体にぼやけてつまらなくなるし、最後までいっても面白いと思わないのである。
実際、作者に読ませるだけの筆力があれば、同様のことをしても大丈夫だったのだろう。しかし、残念ながら作者にはそこまでの力はなかった。だから、まとめればとても短くなる部分を、何十ページも使って書いてみたりしてしまった時、そのあらが読者にもわかってしまった。それは、本来であれば、最悪の事態であり、デビュー作だから許されるとしても、今後は厳しい批判の目にさらされても仕方のないことであろう。
浦賀さんのような世界観を使い、流水大説のようにダラダラと書いて、島田さんのように歴史的事実も交えながらその裏にあったとされる謎を解く。これはこれで面白いのかもしれないが、これを完成させるには、やはりもっと読ませるだけの筆力が必要であろう。
次回作がどのようなものになるのか、非常に楽しみなところであるが、早々に消えたメフィスト賞作家の仲間入りはしないように、頑張って欲しい。
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